勢川びきのX記 (4コマblog)

日々・世界の全てを4コマで

ウェブ時代をゆく

梅田望夫さんの新刊「ウェブ時代をゆく」を読んだ。一気に。
刺激的で素敵な本だ。
(上の4コマみたいな単純な話ではありません。でもストレートな内容。)

20代を中心とする若い人たちへ「Webの世界を空気のように吸ってこれまでなかった広い別世界の中で活き活きと人生を送れるよ!」というワクワクするメッセージ。
でも梅田さんと同年代(と言っていいよね)の私たち以上の年代にとっては「明治維新ソ連崩壊を受け入れられなければ滅びゆくしかないかも」という恐怖心というか絶望感も投げかけてくる。それに対して「おじさんだって、この新しい世界でなんかやっちゃるぞー!チャンスはなんかある!」ってアドレナリンが噴出してくる。そんな揺れ動く気分にさせてくれる。

梅田さんも書いているけど「若いときにWebがあれば」って本当に思う。たった350部の漫画の同人誌を作って、同人誌販売会で必死になって売って、借金を返した日々。今だったらWebを活用する。8mm(ビデオでなくフィルム(シングル8))で気の遠くなる作業をやって作ったアニメ。今だったらPCとYouTube。世界に簡単につながる。負け惜しみで言えば「簡単でなかった」ことに誇りと思い出があるけど。

気がつくと大企業のサラリーマンを長いことやっている。p.93の「大組織で成功できる要素(7つ)」が自分と周りに当てはまるかどうかを考えてみた。確かにこの文章をそのまま取れば結構当てはまるが、同じ定義でも少し違う見方をしてしまった。それは「Webが現れる前は、大企業は梅田さんのいう「けものみち」を楽しめる十分な広さを持った特異な場だった」ということである。
http://d.hatena.ne.jp/segawabiki/20070316

つまり、大企業だろうがsmall businessだろうが、成功する要素は実はあまり変わらないのではないか。そうすると大企業でやれる人はWeb時代にも活き活きと対応できるのではないか。(p.19に『「大組織のプロ」になれば...市場価値も高まる』と書かれていることとつながるけど)
例えば、
(1)「配属」「転勤」「配置転換」...を「未知との遭遇」として心から楽しめる。
→やぶの中で知らないやぶに突き進む快感。。
(2)...その課題が難しければ難しいほど面白いと思える
→やぶのトゲや先行きの不明瞭さを楽しめるOptimist power。
(3)...一緒に働く人への「好き嫌い」があまりなく、仮にあっても...克服する...
→これはそうかもしれない。でも出世している人の多くが「好き嫌い」を克服できていないような気がする。
(4)...新しいゲームだ」とルールを与えられ...勝つことに邁進...
けものみちのルールを柔軟に理解して対応。
(5)...一人ではできない大きなことができることに充実感...
→Webでつながって「できること」が増えたのと同じ感覚の部分もある。一人で自分だけの芸術を行っているのではなく世の中に影響を与えたいという気持ちは同じ。
(6)(組織へのコミットメント)と(7)(組織>個)は確かにこれまではそうだった。でも変わりつつある気もする。

各章のあちらこちらで「そうだなあ」「よーし!」「なるほど」が一杯あって、一気に読んだ今、少し興奮している。
あまり何も考えずに読み出したのだけど、あとがきに「福澤諭吉の『西洋事情』と『学問のすすめ』が対になった存在であるのと同じ意味で...『ウェブ進化論』と対になった...本を...」と書かれているのを見て、納得してしまった。時代の変化と新しい生き方ですね。

私の歳でも影響大の本。若い人は是非。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

にほんブログ村 漫画ブログ 4コマ漫画へ